以下、文字おこしをした文章です。
「宮台真司 脱世界会議 2012.01.15」Youtubeより。
----------------------------------------------------
ぼくはここで、原発をやめることにあわせて、原発をやめられない社会をやめることを提案したいと思います。(拍手)
なにゆえならば、原発がやめられない理由は、原発が技術的に合理的だからではありません。原発をやめられない理由は、巨大電力会社の地域独占供給体制を維持する為です。
具体的に言うとこういうことになります。日本の政治は今、大変に問題を抱えていますね。日本はどこの先進国よりも、最も少ない公務員の割合です。どこの先進国よりも最も低い福祉予算の割合です。アメリカと並ぶぐらいですね。そして、どこの先進国よりも最も政府の債務、借金、GDP比でいうとこれが最も高いんです。
それはなぜかというと、未だに補助金行政をやっているからです。補助金行政とは何かというと、特別措置法を作り、特別会計を確保し、金をばらまくために特殊法人を作って、大量の天下りの座席を確保し、そしてこれを業界にばらまくんですね。業界は、まるでえさをねだる金魚のように口を開けて補助金を待っている。これは、金の切れ目が縁の切れ目ですので、縁が切れると、天下り先もなくなりますから、役人たちは、特別措置法の延長、延長、延長・・・。その結果、特別会計は、国会の審議を経ないで固定された予算になってしまっているんです。実は原子力もそうした流れの中にあるわけです。
つまり自分たちが、私達が、原子力発電をやめられない理由は、日本の政治が病的な状態にある理由とほとんど同じだというふうに断言して差し支えありません。
脱原発、自然エネルギー化は、エネルギーの共同体自治の問題です。それはちょうどスローフードが、食の共同体自治の問題であるのと同じです。
ところが日本では、残念ながら、スローフードというと、オーガニックなものを食べることや、トレーサブルなものを食べることという具合に、食材選択の問題に切り縮められてしまっています。ほうっておくと、日本における脱原発もスローフードと同じように、単なる電源選択の問題に切り縮められてしまいかねません。
簡単に言えば、巨大電力さんよ、原子力はもうやめて、集中太陽熱発電にしてくださいね。とか、そういう話ですね。
しかしこれでは、残念ながら、自然エネルギー化するべき本質的な理由、あるいはヨーロッパの国々が自然エネルギー化を通じて達成しようとしている、社会の仕組み、そうしたものに我々永久に到達できないまま、オーガニックなものを食べるために巨大スーパーに依存し、自然エネルギーを使うために、巨大電力会社に依存し続けることになります。
この依存体質が変わらない限り、今度は原発事故という形を取るかどうかはわかりませんが、やはりまた、同じような大災害を我々は経験することになるでしょう。
なので、脱原発、自然エネルギー化の問題は、私達が巨大システムにお任せするのをやめて、自分たちを自分たちでステアリングできるような、自治の社会を実現することと表裏一体であるということをお話ししたいと思いました。以上です。
------------------------------------------------------

2011年9月7日日本海新聞3面の記事。
